## ラシーヌのブリタニクスの普遍性
権力への野望と葛藤
ラシーヌの悲劇「ブリタニクス」は、ローマ皇帝ネロの治世初期を描写し、権力、野心、愛といった普遍的なテーマを探求しています。ネロ、ブリタニクス、アグリッピナ、ジュニエ、ナルシスといった登場人物たちの複雑な関係性を通して、人間の本性と権力闘争の残酷さが浮き彫りになります。
ネロは、権力欲に取り憑かれ、冷酷かつ残忍な一面を見せるようになります。 彼の義理の兄弟であり、正当な後継者と目されているブリタニクスに対する嫉妬心と猜疑心は、劇の中心的な葛藤を形作っています。 ネロの権力への渇望は、彼を周囲の人々を操作し、破壊へと導いていきます。
愛と嫉妬の悲劇
愛と嫉妬もまた、「ブリタニクス」の重要なテーマです。ネロ、ブリタニクス、ジュニエは、三角関係に陥り、彼らの愛憎が複雑に絡み合います。 ネロは、ブリタニクスへの愛を表明するジュニエを強引に自分のものにしようとしますが、彼女の心はブリタニクスにあります。 この愛の葛藤は、登場人物たちの悲劇的な運命を決定づける要因の一つとなります。
人間の心の闇
ラシーヌは、「ブリタニクス」を通して、人間の心の奥底に潜む闇を容赦なく描き出しています。 登場人物たちは、それぞれ野心、嫉妬、愛憎といった感情に翻弄され、破滅へと突き進んでいきます。 権力闘争の中で、道徳や理性は歪められ、人間の心の脆さ、残酷さが露呈していきます。
「ブリタニクス」は、特定の時代や場所を超越した人間の普遍的なテーマを扱っているがゆえに、今日においてもなお観客を魅了し続けています。