## ラシーヌのフェードルの対称性
登場人物の対称性
「フェードル」における最も顕著な対称性のひとつは、登場人物配置に見られます。 フェードルとイッポリットは、どちらも禁断の愛に苦しむ悲劇の主人公として描かれています。 フェードルは継息子イッポリットに、イッポリットはアリシーに叶わぬ恋心を抱いています。 このように、彼らは鏡像関係にあり、それぞれの愛の苦悩が作品の重要なテーマとなっています。
愛と義務の対立
作品全体を通して、愛と義務の対立が繰り返し描かれます。 フェードルは、継息子への愛と、テセウスの妻としての義務との間で苦悩します。 一方、イッポリットは、アリシーへの愛と、父テセウスへの忠誠心との間で葛藤します。 このように、愛と義務の対立は、登場人物たちの行動や心理に大きな影響を与え、作品の重要な主題となっています。
真実と虚偽の対称性
「フェードル」では、真実と虚偽が複雑に絡み合い、登場人物たちの運命を左右します。 フェードルは、自らの愛を告白するために嘘をつき、それが悲劇的な結果を招きます。 一方、イッポリットは、フェードルの愛を拒絶するために真実を語りますが、彼の言葉は信じてもらえません。 このように、真実と虚偽の対称性が、作品の緊張感を高め、悲劇性を強調する効果を生み出しています。
古典的な三単一の法則
ラシーヌは、「フェードル」において古典的な三単一の法則を厳格に守っています。 作品の舞台はテセウスの宮殿という単一の場所に限定され、物語は24時間以内に完結し、筋はフェードルの禁断の愛とその結末に焦点を当てています。 このような古典的な形式の採用は、作品の構成に秩序と統一感をもたらし、テーマをより明確に浮かび上がらせる効果を生み出しています。