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ラシーヌのフェードルとアートとの関係

## ラシーヌのフェードルとアートとの関係

絵画におけるフェードル

ラシーヌの戯曲「フェードル」は、その悲劇的な筋書きと心理描写の深さから、多くの画家たちにインスピレーションを与えてきました。 特に18世紀から19世紀にかけて、新古典主義やロマン主義の画家たちが、フェードルや劇中の他の登場人物を描いた作品を多く残しています。

例えば、新古典主義の巨匠ジャック=ルイ・ダヴィッドは、1774年に「ヒッポリュトスに愛を告白するフェードル」を描いています。この作品は、フェードルの抑圧された情熱と、ヒッポリュトスの困惑を劇的に表現した傑作として知られています。

また、ロマン主義の画家アレクサンドル・カバネルは、1880年に「瀕死のフェードル」を描いています。この作品は、毒を飲んで死に行くフェードルの苦悩と絶望を、劇的な色彩と構図で表現しています。

その他にも、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル、ローレンス・アルマ=タデマ、ギュスターヴ・モローなど、多くの画家が「フェードル」を題材とした作品を描いています。 これらの作品は、ラシーヌの戯曲が時代を超えて、多くの芸術家に影響を与え続けていることを示しています。

彫刻におけるフェードル

絵画と同様に、彫刻の世界においても「フェードル」は多くの芸術家にインスピレーションを与えてきました。 18世紀から19世紀にかけて、新古典主義やロマン主義の彫刻家たちは、フェードルの心理的な葛藤や劇的な運命を表現しようと試みました。

例えば、18世紀の彫刻家ジャン=アントワーヌ・ウードンは、1775年に「ヒッポリュトスに嘆願するフェードル」を制作しました。 この作品は、ウードンの代表作の一つであり、フェードルの抑圧された情熱とヒッポリュトスの戸惑いを繊細に表現しています。

また、19世紀の彫刻家ジェームズ・プラディエは、1857年に「フェードル」を制作しました。 この作品は、フェードルの内面の葛藤と絶望を表現した力強い作品として知られています。

その他にも、多くの彫刻家が「フェードル」を題材とした作品を制作しており、ラシーヌの戯曲が彫刻の世界にも大きな影響を与えたことがわかります。

音楽におけるフェードル

ラシーヌの「フェードル」は、音楽の世界においてもオペラやバレエなど、様々な形で表現されてきました。 音楽は、言葉では表現しきれない登場人物たちの感情や心理描写を、より深く、鮮やかに描き出すことを可能にします。

17世紀には、フランスの作曲家ロベール・カンベールが「フェードル」に基づくオペラを作曲しました。 しかし、この作品は現存していません。

18世紀には、フランスの作曲家ジャン=フィリップ・ラモーが、1733年に tragédie en musique「イポリートとアリシー」を作曲しました。 この作品は、ラシーヌの「フェードル」と同じくエウリピデスの『ヒッポリュトス』を原作としており、登場人物や筋書きもほぼ同じです。 ラモーは、ラシーヌの悲劇的な世界観を見事に音楽で表現し、フランスオペラにおける傑作の一つとされています。

19世紀には、イタリアの作曲家ガスパレ・スポンティーニが、1820年にオペラ・セリア「フェードル」を作曲しました。 また、20世紀には、イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンが、1973年にオペラ「ヴェニスに死す」を作曲しました。 この作品は、トーマス・マンの同名の小説を原作としていますが、主人公である作家グスタフ・フォン・アッシェンバッハの、美少年タジオへの禁断の愛を描いた物語であり、「フェードル」のテーマと深く共鳴しています。

このように、「フェードル」は音楽の世界においても、様々な形で表現され続けてきました。

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