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ラシーヌの『アンドロマック』とアートとの関係

## ラシーヌの『アンドロマック』とアートとの関係

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絵画における影響

ラシーヌの『アンドロマック』(1667年初演)は、その劇的な筋立てと登場人物たちの心理描写の深さから、数多くの画家たちにインスピレーションを与えてきました。

18世紀には、新古典主義の画家たちがこぞって『アンドロマック』の場面を描いています。例えば、アントワーヌ・コワペルの『アンドロマックの嘆き』(1668年)は、夫ヘクトルを失い、息子アステュアナクスもギリシャ人に殺されそうになっているアンドロマックの悲しみを見事に表現しています。また、ジャン=バティスト・ルニョーは、ピリュスとアンドロマックの葛藤を描いた『アンドロマックとピリュス』(1724年)など、複数の作品を制作しています。

19世紀に入ると、ロマン主義の画家たちも『アンドロマック』に注目するようになります。ウジェーヌ・ドラクロワは、劇中の情熱的な愛と復讐のテーマに共鳴し、『ピリュスに発見されるアンドロマック』(1838年)などの作品を生み出しました。

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オペラにおける影響

『アンドロマック』は、オペラ作品としても広く翻案されてきました。その中でも最も有名なのは、イタリアの作曲家ルイジ・ケルビーニによる『メデア』(1797年)でしょう。この作品では、アンドロマックではなくメデアが主人公となっていますが、ストーリーは『アンドロマック』を基盤としており、愛と復讐のテーマがオペラティックに描かれています。

その他にも、アンドレ・グレトリの『アンドロマック』(1780年)、クリストフ・ヴィリバルト・グルックの『エツィオ』(1750年、アンドロマックは脇役として登場)、ジャン=バティスト・リュリの『アキレウスとポリュクセーヌ』(1687年、アンドロマックは脇役として登場)など、多くのオペラ作品で『アンドロマック』のテーマや登場人物が扱われています。

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