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ラサールの労働者綱領の面白さ

## ラサールの労働者綱領の面白さ

### 1. 普遍 suffrage と社会主義の接続点としての面白さ

ラサールの労働者綱領は、1862年から1863年にかけて執筆され、プロイセンにおける労働者運動の指針となることを目指していました。当時、プロイセンでは絶対王政と貴族階級による支配が続いており、労働者は劣悪な労働環境と政治的な抑圧に苦しんでいました。

この綱領の面白さは、普遍的な選挙権(suffrage)の実現を通じて、労働者階級が政治的な力を獲得し、国家による生産手段の所有と管理を実現することで、社会主義的な理想社会を実現しようとする点にあります。ラサールは、労働者が自らの力で政治体制を変革し、経済的な解放を達成できると主張しました。これは、当時の社会主義運動において主流であった、革命による社会主義実現論とは異なる、現実的で漸進的なアプローチとして注目されました。

### 2. 国家の役割に対する独特な視点の面白さ

ラサールの綱領は、国家の役割を重視している点でも特徴的です。彼は、国家を労働者階級の敵ではなく、社会主義実現のための重要な手段と捉えていました。ラサールは、国家が生産手段を所有し、経済活動を統制することで、労働者の搾取をなくし、経済的な平等を実現できると考えていました。

この国家観は、マルクスの唱える国家論とは大きく異なるものであり、後の社会主義運動の中でも様々な議論を巻き起こしました。マルクスは、国家を支配階級の利益を守るための道具と見なし、革命によって国家を打倒することこそが重要だと主張しました。一方、ラサールは、国家を労働者階級の利益のために活用することができると考え、国家との協調を重視しました。

### 3. 生産組合の提唱という着眼点の面白さ

ラサールは、国家による労働者生産組合の設立を提唱しました。これは、国家の資金援助の下で、労働者が自主的に運営する協同組合を組織し、生産活動を行うというアイデアです。ラサールは、生産組合を通じて、労働者が資本家から独立し、生産手段を所有することで、経済的な自立と社会主義的な理想を実現できると考えていました。

この生産組合のアイデアは、当時の社会主義運動においても斬新なものでした。生産組合は、資本主義経済の枠組みの中で、労働者が自らの力で経済的な改善を図ることを目指しており、現実的な社会主義の実現方法として注目されました。

### 4. 当時のドイツ社会状況における意義と限界の面白さ

ラサールの労働者綱領は、19世紀後半のドイツ社会に大きな影響を与え、ドイツ社会民主党の結成に貢献しました。しかし、彼の綱領は、現実的な社会主義を目指す一方で、国家への依存を強める可能性や、労働者自身の階級意識に基づいた運動を阻害する可能性も孕んでいました。

実際、ラサールの死後、ドイツ社会民主党は、彼の思想を部分的に継承しつつも、マルクス主義の影響を強く受け、革命による社会主義実現を目指す方向へと進んでいくことになります.

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