## ラサールの労働者綱領の評価
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ラサール綱領の概要
フェルディナント・ラサールは、19世紀ドイツの思想家、政治家で、特に労働者運動における指導的立場として知られています。1862年に発表された「労働者階級の特殊な要求に関する公開書簡」の中で示された彼の綱領は、「ラサール綱領」として知られ、当時のドイツ労働者階級の要求を体系的にまとめたものでした。
ラサール綱領は、国家からの普選権導入による政治的自由の獲得と、国家による生産組合の設立を通じた経済的自由の獲得を主要な柱としていました。具体的には、普通選挙の実現、国家による生産組合への援助、国家による労働時間の規制、工場法の制定などを要求していました。
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ラサール綱領の評価ポイント
ラサール綱領は、発表当時、ドイツ労働者階級から広く支持を集め、その後のドイツ社会主義運動に大きな影響を与えました。しかし、その評価は一様ではなく、以下のような点が論争の的となっています。
* **国家の役割に対する考え方**: ラサールは、国家を労働者階級の解放のための重要な手段と捉え、国家による積極的な介入を主張しました。この点に関して、国家を支配階級の道具と見なし、その打倒を目指すマルクス主義者からは、国家への依存を強めるものとして批判されました。
* **生産組合に対する考え方**: ラサールは、国家の援助を受けた生産組合の設立を通じて、労働者が生産手段を所有し、資本主義の枠組みの中で経済的な自由を獲得できると考えました。しかし、マルクス主義者からは、資本主義の枠組み内での改革にとどまり、根本的な解決にならないと批判されました。
* **階級闘争に対する考え方**: ラサールは、階級協調による社会改良を目指し、労働者とブルジョワジーの協調を重視しました。この点も、階級闘争の必然性を説くマルクス主義者からは、現実的な解決策を提供できないという批判を受けました。
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ラサール綱領の影響
ラサール綱領は、その後のドイツ社会主義運動に多大な影響を与え、ドイツ社会民主党(SPD)の綱領にも影響を与えました。しかし、ラサール綱領に対する評価は、マルクス主義者との間で鋭く対立し、ドイツ社会主義運動内部での対立の要因の一つとなりました.