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ラサールの労働者綱領と人間

## ラサールの労働者綱領と人間

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ラサールの労働者綱領における人間観

フェルディナント・ラサールは、19世紀ドイツの社会主義思想家であり、労働者運動の指導者でした。彼は、「ラサールの労働者綱領」として知られる政治綱領を提唱し、その中で、国家による労働者の解放と、生産手段の社会的所有による平等な社会の実現を訴えました。

ラサールの労働者綱領における人間観は、人間は本来、自由で平等な存在であるという啓蒙主義の思想に根ざしています。しかし、現実の資本主義社会においては、労働者は資本家階級によって搾取され、自由や平等を奪われているとラサールは考えました。

ラサールは、人間を「社会的動物」と捉え、人間は社会の中で他者と協力し、助け合うことによってのみ、真に人間らしく生きることができると考えました。しかし、資本主義社会においては、労働者は、資本家との間で、常に利害が対立する関係に置かれ、その結果、人間は人間性を奪われ、競争と対立に明け暮れる存在に貶められているとラサールは批判しました。

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ラサールの労働者綱領における国家の役割

ラサールは、このような状況を克服するために、国家の積極的な介入が必要であると考えました。彼は、国家は、労働者階級の利益を守るために、労働条件の改善、社会保障の充実など、様々な政策を実施すべきだと主張しました。

特に、ラサールは、国家による生産手段の社会的所有を主張しました。これは、工場や機械などの生産手段を国家が所有し、労働者が共同で管理・運営することによって、資本家による搾取を根絶しようとする考え方です。

ラサールは、国家による生産手段の社会的所有は、単に経済的な平等を実現するだけでなく、人間を資本主義社会における競争と対立から解放し、真に自由で平等な社会を実現するための必要条件であると考えました。

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ラサールの労働者綱領の影響

ラサールの労働者綱領は、当時のドイツ労働者階級に大きな影響を与え、ドイツ社会民主党の結成に大きな影響を与えました。

しかし、ラサールの国家観や社会主義実現の方法論については、マルクス主義者などから批判がなされました。特に、国家を労働者階級の解放の主体とみなすラサールの考え方は、国家を支配階級の道具とみなすマルクスの考えと対立するものでした。

ラサールの労働者綱領は、19世紀後半のドイツ社会主義運動に大きな影響を与えましたが、その後の社会主義運動の発展とともに、その限界も指摘されるようになりました。

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