## ライプニッツのモナドロジーの発想
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モナドとは何か
ライプニッツのモナドロジーにおいて、中心的な概念となるのが「モナド」です。モナドとは、ギリシャ語の「モナス」(monas:単子、単位)に由来し、それ以上分割できない、究極的な実体として考えられました。ライプニッツは、この世界は無限に存在するモナドによって構成されていると主張しました。
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モナドの特性
モナドは、以下の3つの重要な特性を持ちます。
1. **単純性:** モナドはそれ以上分割できない、究極的に単純な実体です。部分を持たず、物質的でも空間的な広がりも持ちません。
2. **活動性:** モナドは、外部からの影響を受けることなく、自発的に活動し変化します。この活動の原理を、ライプニッツは「欲求」(appetition)と呼びました。
3. **表象:** モナドは、それ自体の中にとどまりながら、他のすべてのモナドと、そして世界全体を、それぞれの視点から表象(representation)します。
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予定調和
モナドは互いに因果関係によって影響し合うことはありません。しかし、それぞれのモナドは、あらかじめ定められた独自のプログラムに従って変化し、他のすべてのモナドと完全に調和した活動を行います。これがライプニッツの「予定調和」(pre-established harmony)の概念です。
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モナドの階層性
ライプニッツは、モナドはすべて同じではなく、その表象能力によって階層的に秩序づけられていると考えました。最も下位のモナドは、無機物を構成するものであり、鈍い知覚しか持ちません。より高位のモナドは、より明瞭な知覚を持ち、意識や精神を持つに至ります。そして、最も高位のモナドは、神であり、完全な知性と意志を持ち、世界の創造者かつ支配者として君臨しています。
これらの概念を通して、ライプニッツは、伝統的な実体論と観念論の二元論を超え、世界を、動的で、活気に満ちた、相互に関連し合ったモナドの共同体として捉え直そうとしました。