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ライプニッツのモナドロジーの思想的背景

ライプニッツのモナドロジーの思想的背景

スコラ哲学

ライプニッツは、幼少期にスコラ哲学を学びました。スコラ哲学は、アリストテレスの哲学をキリスト教神学と統合しようとする試みです。ライプニッツは、スコラ哲学の論理学や形而上学に強い影響を受けました。例えば、モナドの概念は、スコラ哲学における実体論の影響を受けています。スコラ哲学では、実体はそれ自体で存在し、他のものに依存しないものと定義されます。ライプニッツは、モナドを、この実体の概念と類似した、それ自体で存在し、分割不可能な単純な実体として捉えました。

機械論的哲学

17世紀は、自然現象を機械の運動によって説明しようとする機械論的哲学が興隆した時代でした。ライプニッツは、機械論的哲学の考え方にも影響を受けました。彼は、宇宙を精巧な時計にたとえ、それぞれのモナドがその時計の歯車のように、一定の法則に従って運動していると考えたのです。

しかし、ライプニッツは、機械論的哲学が、精神や意識といった問題を説明できないと考えていました。彼は、機械的な運動だけでは、知覚や思考といった精神現象を説明できないと考えたのです。そこでライプニッツは、機械論的な枠組みの中に、精神的な実体であるモナドを導入することで、機械論と精神現象の両方を説明しようと試みました。

デカルト哲学

ライプニッツは、デカルトの哲学からも大きな影響を受けました。特に、デカルトの心身二元論は、ライプニッツのモナド論に大きな影響を与えました。デカルトは、世界は精神と物質という二つの実体から成り立っており、この二つは互いに独立に存在すると考えました。

ライプニッツは、デカルトの二元論を批判的に継承しました。彼は、モナドを精神と物質の両方の属性を持つものとし、モナドの階層性によって、精神と物質の相互作用を説明しようと試みました。しかし、ライプニッツは、デカルトのように、精神と物質を完全に独立した実体として捉えるのではなく、モナドという単一の実体の異なる側面として捉えていた点で、デカルトとは異なっています。

物理学および数学

ライプニッツは、数学や物理学にも深い造詣を持っていました。彼は、微積分法の創始者の一人としても知られており、その数学的思考はモナドロジーにも影響を与えています。例えば、モナドの無限性や連続性の概念は、ライプニッツの数学的思考と関連づけて理解することができます。

神学

ライプニッツは、敬虔なキリスト教徒であり、神学の問題にも深く関心を寄せていました。モナドロジーにおける予定調和の概念は、神の完全性と世界の悪の problem を調和させようとする、ライプニッツの神学的思想と深く関わっています。彼は、神がこの世界を創造する際に、すべての可能な世界の中から最善の世界を選んだと考え、モナド間の調和は、神の完全性と秩序を反映したものであるとしました。

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