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ユークリッドの原論の秘密

## ユークリッドの原論の秘密

原論の内容

「原論」は全13巻から成り、平面幾何、比例論、数論、立体幾何を扱っています。

* **第1巻:** 基本的な定義、公理、公準から始まり、三角形の合同条件、平行線の性質、ピタゴラスの定理などが論じられます。
* **第2巻:** 幾何的な代数学を扱い、線分の分割や面積に関する定理などが展開されます。
* **第3巻:** 円と円の性質、接線、弦、内接角、円周角などが扱われます。
* **第4巻:** 正多角形の作図、円への内接と外接に関する問題が扱われます。
* **第5巻:** エウドクソスの比例論に基づいた、量に対する比例の理論が展開されます。
* **第6巻:** 第5巻の比例論を平面図形に応用し、相似な図形の性質などが論じられます。
* **第7巻~第9巻:** 素数、最大公約数、最小公倍数、完全数など、整数論が扱われます。
* **第10巻:** 無理量、つまり有理数で表せない数を幾何学的に扱い、その分類などが行われます。
* **第11巻~第13巻:** 空間における直線や平面の性質、角錐や円錐、球の体積などが論じられます。

原論の特徴

「原論」は単なる数学書の枠を超えて、以下の特徴を持つ点が「秘密」と言えるかもしれません。

* **公理主義:** 少数の自明な命題(公理)を前提として、そこから論理的な推論だけで多くの定理を導き出す、公理主義的方法が徹底されています。これは、数学のみならず、あらゆる学問の模範となる方法論として、後世に多大な影響を与えました。
* **体系性:** 定義、公理、定理が相互に有機的に結びつき、論理的な整合性を持って構成された、壮大な体系をなしています。これは、古代ギリシャにおける数学的知識の集大成であると同時に、数学という学問の体系化に大きく貢献しました。
* **歴史的影響力:** 「原論」は2000年以上にわたり、数学の教科書として、また西洋の思想や文化に多大な影響を与えてきました。ニュートンやアインシュタインなど、多くの科学者や思想家が「原論」から影響を受けたと言われています。

原論の限界

完璧に見える「原論」にも、現代数学の視点から見ると、いくつかの限界が指摘されています。

* **無定義用語:** 点や直線など、いくつかの基本的な用語は定義なしに用いられています。現代数学では、このような無定義用語をなくし、より厳密な論理体系を構築することが求められます。
* **幾何学への偏重:** 現代数学では、代数学や解析学など、幾何学以外にも様々な分野が発達しています。「原論」は幾何学を中心とした内容であり、現代数学の全体像を示すものではありません。

これらの特徴と限界は、「原論」が古代ギリシャにおける数学的到達点であると同時に、現代数学への発展の礎となったことを示しています。

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