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ユークリッドの原論の構成

## ユークリッドの原論の構成

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定義、公準、公理

「原論」は、まず基本的な用語の定義から始まります。点、線、直線、平面、角、円などの定義が、全13巻を通じて使用される用語の意味を明確にするために提示されます。

定義に続いて、ユークリッドは幾何学を構築するための基礎となる仮定を提示します。これらは、公準と公理の2種類に分けられます。

* **公準**: 幾何学に特有の基本的な仮定
* **公理**: 当時の数学だけでなく、他の分野でも広く受け入れられていた一般的な真理

公準は全部で5つあり、幾何学的な作図の可能性と平行線の性質について述べています。公理は全部で9つあり、主に量の関係について述べています。

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1巻~4巻:平面幾何(基本)

最初の4巻は、三角形、平行線、面積に関する基本的な平面幾何を取り扱います。

* **1巻**: 合同な図形、平行線、三角形の性質、三角形の合同条件、平行線の公理などを扱います。1巻の最後には、有名なピタゴラスの定理とその逆が証明されています。
* **2巻**: 幾何学的代数と呼ばれる分野を扱い、線分の分割や面積の等式などを幾何学的に表現し証明します。
* **3巻**: 円と円周角、接線、弦に関する定理を扱います。
* **4巻**: 定規とコンパスだけを用いて、与えられた図形に内接または外接する円を作図する方法を扱います。

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5巻:比例論

5巻は、エウドクソスの比例論に基づいた、量同士の比と比例に関する理論を展開します。これは、無理数の発見によって生じた幾何学の危機を克服するために導入された、高度な理論です。

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6巻:相似

6巻では、5巻で展開された比例論を用いて、平面図形の相似について論じます。三角形の相似条件や、相似な図形の面積比などが証明されます。

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7巻~9巻:数論

7巻から9巻は、整数論を扱います。素数、合成数、最大公約数、最小公倍数などの概念が導入され、ユークリッドの互除法や素因数分解の一意性など、重要な定理が証明されます。

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10巻:無理量

10巻は、「原論」の中でも最も長く複雑な巻であり、無理量を扱います。線分の比として表せない量を分類し、その性質を詳しく調べます。

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11巻~13巻:立体幾何

最後の3巻は、立体幾何を取り扱います。

* **11巻**: 空間における直線や平面の位置関係、平行性、垂直性などを定義し、基本的な定理を証明します。
* **12巻**: 円錐、円柱、球などの立体図形の体積を、取り尽くし法を用いて求めます。
* **13巻**: 正多面体が5種類しかないことを証明します。これは、プラトンの立体と呼ばれるもので、古代ギリシャの哲学とも関連付けられていました。

このように、「原論」は、定義、公準、公理から出発し、論理的な推論によって複雑な定理を積み重ねていく、壮大な体系を構築しています。

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