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ユスティニアヌスのローマ法大全を読む

## ユスティニアヌスのローマ法大全を読む

ローマ法の再編成:
壮大な事業

「ユスティニアヌスのローマ法大全(Corpus Iuris Civilis)」は、6世紀に東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌス1世の命によって編纂された、古代ローマ法の膨大な集成です。 全50巻にも及ぶこの法典は、ローマ法学の精華を今に伝える monumentum aere perennius(青銅よりも永続的な記念碑)として、後世に多大な影響を与えました。

構成:
法典、学説彙纂、勅法彙集、新勅法

「ユスティニアヌスのローマ法大全」は、大きく分けて以下の4つの部分から構成されています。

* **「学説彙纂(Digesta)」または「パンデクテン(Pandectae)」:**
紀元前1世紀から3世紀にかけて活躍したローマ法学者の著作から、法的論争に関する意見を抜粋し、体系的にまとめたもの。全50巻のうち、実に半分以上を占める中心的な部分です。
* **「法学提要(Institutiones)」:**
ローマ法の基礎を学ぶ学生向けに編纂された教科書。ガイウスの「Institutes」を基に、当時の法制度に合わせて改訂が加えられています。
* **「勅法彙集(Codex)」:**
ユスティニアヌス1世以前のローマ皇帝が制定した勅法のうち、有効なものだけを年代順にまとめ、編纂した法典。
* **「新勅法(Novellae Constitutiones)」:**
「勅法彙集」編纂後にユスティニアヌス1世が発布した勅法を集めたもの。

内容:
古代ローマの法思想と社会構造

「ユスティニアヌスのローマ法大全」は、古代ローマ人の法思想や社会構造を知る上で、極めて重要な資料です。例えば、「学説彙纂」には、ローマ法学者が論じた所有権、契約、家族、相続などの問題に関する詳細な議論が収録されています。これらの議論からは、古代ローマ人が権利義務関係をどのように捉え、社会秩序をどのように維持しようとしていたのかを窺い知ることができます。

影響:
西洋法の基礎

「ユスティニアヌスのローマ法大全」は、その後のヨーロッパ法、ひいては近代西洋法の形成に計り知れない影響を与えました。11世紀にイタリアのボローニャ大学で「学説彙纂」の研究が盛んになると、これを契機にヨーロッパ各地でローマ法の研究と教育が活発化します。そして、ローマ法は中世ヨーロッパ社会に広く浸透し、近代国民国家の法典編纂にも大きな影響を与えました。

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