ユスティニアヌスのローマ法大全の選択
ローマ法大全の編纂
6世紀初頭、東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌス1世は、古代ローマの膨大な法体系を整理し、体系化するという壮大な事業に着手しました。この事業の結果が、後世に多大な影響を与えることになる「ローマ法大全」です。528年から533年にかけて、10人の法律家からなる委員会が組織され、ローマ法の古典的な文献を収集・分析し、現代の法体系に適合するように編纂しました。
選択の基準
ローマ法大全に収録する法文の選択は、以下の基準に基づいて行われました。
* **権威**: ユスティニアヌス帝は、古典期の著名な法学者によって書かれた著作を重視しました。特に、ガイウス、ウルピアーヌス、パピニアーヌスなどの法学者の著作は、高い権威を持つものとして扱われました。
* **実用性**: 当時の東ローマ帝国の法体系に適合し、実際に適用可能な法文が選ばれました。時代遅れになった法律や、実務上重要でない法律は、除外されるか、修正されました。
* **明瞭性**: 矛盾や重複を避けるため、明確で理解しやすい法文が選ばれました。また、原文が不明瞭な場合は、委員会によって修正・加筆が加えられました。
選択の影響
ユスティニアヌス帝によるローマ法の編纂は、古代ローマの法文化を後世に伝える上で重要な役割を果たしました。ローマ法大全は、中世ヨーロッパにおける法学研究の基礎となり、近代ヨーロッパの法典編纂にも大きな影響を与えました。