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ユスティニアヌスのローマ法大全の美

## ユスティニアヌスのローマ法大全の美

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法的網羅性と体系性における美

ユスティニアヌス帝が編纂を命じた「ローマ法大全」はその名の通り、膨大なローマ法の法源を体系的にまとめ上げた一大法典です。3世紀にも及ぶローマ法の歴史の中で蓄積された、膨大な数の勅令、法解釈、学説を網羅し、矛盾する部分を整理して体系化したことは、法的安定性と秩序をもたらす上で重要な役割を果たしました。

「ローマ法大全」は、大きく分けて3つの部分から構成されています。第一に、歴代皇帝の勅令を時系列順にまとめた「勅法彙集」、第二に、古典期ローマ法学者の著作から重要な部分を抜粋し、体系的にまとめた「学説彙纂」、そして第三に、ユスティニアヌス帝の治世以降に出された新しい勅令を集めた「新勅法」です。

「学説彙纂」は、古典期ローマ法学の精髄を今に伝える重要な資料となっており、ガイウスの「法学提要」など、この法典に収録されたおかげで現代に伝わった書物も少なくありません。このように、「ローマ法大全」は単なる法典にとどまらず、古代ローマ人の法思想、哲学、歴史を知る上でも重要な文化的遺産としての価値を有しています。

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洗練された法技術と論理展開の美

「ローマ法大全」は、古代ローマ法学者の卓越した法技術と論理的思考を余すところなく示す貴重な資料でもあります。例えば、「学説彙纂」に収録された法解釈や学説は、具体的な事例に基づいた問題提起と、論理的な思考によって導き出された解答という形式で記されており、現代の法律家にも通じる高度な論理展開を垣間見ることができます。

また、「ローマ法大全」には、所有権、契約、不法行為など、現代の私法にも通じる基本的な法概念が明確に定義されています。これらの法概念は、後のヨーロッパ諸国の法制度に多大な影響を与え、現代社会の法的基盤を形成する上でも重要な役割を果たしました。

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