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ユスティニアヌスのローマ法大全の秘密

ユスティニアヌスのローマ法大全の秘密

ローマ法大全編纂の背景

6世紀初頭、東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌス1世は、かつてのローマ帝国の栄光を復興しようと試みていました。その一環として、ローマ法の再編纂を計画します。当時、ローマ法は膨大な量に達しており、矛盾や重複も多く、実務上の運用に支障をきたしていました。ユスティニアヌスは、これらの問題を解決し、統一的な法典を編纂することで、帝国の統治体制を強化することを目指しました。

ローマ法大全の内容と構成

ユスティニアヌスの命を受けて編纂されたローマ法大全は、以下の3つの部分から構成されています。

* **「Digest」または「Pandectae」**: ローマ法学者の著作から、法的効力を有する部分を抜粋し、体系的に編集したもの。全50巻から成り、当時の私法に関する規定の大部分を網羅しています。
* **「Institutes」**: 法律を学ぶ学生のための入門書。ガイウスの「Institutes」を基に、当時の法令に合わせて改訂されています。
* **「Codex」**: ユスティニアヌス以前の皇帝の勅令を集成し、体系的に編集したもの。全12巻から成ります。

これらの法典は、ユスティニアヌスの治世中に制定され、東ローマ帝国の法として効力を持ちました。

ローマ法大全編纂の意義

ユスティニアヌスのローマ法大全は、単なる法典の編纂にとどまらず、古代ローマの法文化を後世に伝える上で重要な役割を果たしました。西ローマ帝国滅亡後、西ヨーロッパではゲルマン法が優勢となり、ローマ法は忘れ去られつつありました。しかし、ローマ法大全は東ローマ帝国で保存され、12世紀に西ヨーロッパで「再発見」されると、大学での研究対象となり、中世・近世ヨーロッパの法の発展に大きな影響を与えました。

ローマ法大全の秘密

ローマ法大全には、いくつかの「秘密」とされてきた側面があります。

* **編纂のスピード**: 膨大な量の古典的な法文献から、矛盾なく体系的に編纂されたことは驚異的であり、短期間で完成させた過程には、いまだ不明な点が多く残されています。
* **編纂に関わった人物**: トリボニアヌスを中心とする編纂委員会の存在は知られていますが、具体的な作業内容や、個々の委員の貢献度など、詳細については明らかになっていません。
* **原文との関係**: ローマ法大全に収録された法文は、必ずしも原文そのままではなく、編纂過程で修正・加筆された可能性も指摘されています。

これらの「秘密」を解き明かすべく、現在も歴史学、法学などの分野で研究が進められています。

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