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ユスティニアヌスのローマ法大全の分析

## ユスティニアヌスのローマ法大全の分析

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概要

ユスティニアヌス帝の治世(527-565年)に編纂されたローマ法大全(羅: Corpus Iuris Civilis)は、古代ローマの法体系を網羅的に集成した法典群です。 東ローマ帝国、すなわちビザンツ帝国において、古代ローマの法文化を継承し、法の再編を目的として編纂されました。

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構成

ローマ法大全は、大きく分けて以下の3つの部分から構成されています。

1. **「ディゲスタ」または「パンデクタイ」**: 古代ローマ法学者の著作から、法的効力を持つ部分を抜粋し、体系的に編集したものです。 全50巻からなり、私法を中心に、公法、刑法、訴訟法など広範な分野を網羅しています。
2. **「インスティトゥティオネス」**: 法学の初学者向けに、ローマ法の基本的な原則を解説した教科書です。 全4巻からなり、ガイウスの「Institutes」を基にしています。
3. **「コーデクス」**: ユスティニアヌス帝以前のローマ皇帝が出した勅令を年代順に編纂し、内容の重複や矛盾を整理したものです。 全12巻からなります。

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編纂の背景

6世紀、ユスティニアヌス帝は、かつてのローマ帝国の版図を取り戻し、その栄光を復興することを目指していました。 しかし、当時の東ローマ帝国では、長年の間に法の解釈が複雑化し、判例や法学者の見解が乱立するなど、法体系は混乱状態にありました。 そこでユスティニアヌス帝は、古代ローマ法を再編し、統一的な法典を制定することで、帝国の統治体制を強化しようと試みたのです。

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影響

ローマ法大全は、単なる法典集ではなく、古代ローマの法思想、哲学、社会構造を理解するための貴重な資料でもあります。 その後、西ヨーロッパ世界に大きな影響を与え、中世以降のヨーロッパ法発展の基礎となりました。 特に、11世紀にイタリアのボローニャ大学でローマ法大全の研究が盛んになると、その影響はヨーロッパ全土に広がり、近代市民法の形成にも大きな影響を与えました。

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現代における意義

現代においても、ローマ法大全は法学研究の重要な素材となっており、その法思想や法技術は現代法にも通じるものがあります。 特に、所有権や契約などの私法分野における基本的な概念は、ローマ法の考え方を継承しており、現代社会においても重要な役割を果たしています。

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