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ユスティニアヌスのローマ法大全の光と影

## ユスティニアヌスのローマ法大全の光と影

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古代ローマ法の集大成

ユスティニアヌス帝の命により編纂された「ローマ法大全」は、膨大な量のローマ法の法典や法解釈を体系的にまとめた、古代ローマ法の集大成と言えるものです。 全50巻から成るこの大著は、「学説彙纂」「ローマ法 Institutes」「新勅法」の3つで構成されています。

「学説彙纂」は、古代ローマの著名な法学者たちの著作から、当時の社会状況に合ったものを抜粋し、体系的にまとめたものです。「ローマ法 Institutes」は、法学を学ぶ学生のための入門書として、ローマ法の基本原則を簡潔に解説しています。そして「新勅法」は、ユスティニアヌス帝自身が制定した新しい法律を集めたものです。

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西欧法への多大な影響

「ローマ法大全」は、その後千年以上にわたってヨーロッパの法体系の基礎となり、西欧法の発展に多大な影響を与えました。特に、11世紀にイタリアのボローニャ大学で「ローマ法大全」の研究が盛んになると、ヨーロッパ各地にローマ法学が広まり、近代ヨーロッパの法典編纂にも大きな影響を与えました。

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現実との乖離

一方で、「ローマ法大全」は、編纂当時の社会状況を反映しきれていない部分も見られます。古代ローマの法体系は、奴隷制や家父長制など、現代の価値観とは相容れない要素を含んでいました。ユスティニアヌス帝の時代にはこれらの制度は衰退しつつありましたが、「ローマ法大全」には過去の法解釈も多数含まれており、現実との乖離が見られることもありました。

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解釈の多様性と政治利用

「ローマ法大全」は、膨大な量の情報を含むため、その解釈は時代や地域、解釈者によって異なりました。この解釈の多様性は、法の適用における柔軟性を生み出す一方で、政治的に利用されることもありました。為政者や法学者は、自らの主張に有利なように「ローマ法大全」を解釈し、権力闘争の道具として利用することもあったのです。

このように、「ローマ法大全」は、古代ローマの法体系を後世に伝えるとともに、西欧法の発展に多大な影響を与えました。しかし、その一方で、現実との乖離や解釈の多様性、政治利用などの問題点も抱えていました.

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