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ヤーコブソンの言語学と詩学から学ぶ時代性

ヤーコブソンの言語学と詩学から学ぶ時代性

ロシア・フォルマリズムとプラハ構造主義

20世紀初頭のロシア・フォルマリズムから、1920年代後半にプラハへと拠点を移し発展したプラハ構造主義は、文学作品の自律性を主張し、作品内部の構造分析に焦点を当てました。その中心人物であったのが、言語学者であり文芸理論家でもあるロマン・ヤーコブソンです。彼はソシュールの言語学を継承しつつ、それを発展させ、文芸作品、特に詩の分析に応用しました。

言語の機能と詩的機能

ヤーコブソンは、言語の伝達機能以外にも、様々な機能が存在すると考えました。例えば、感情を表現する「表出機能」、聞き手に働きかける「呼応機能」、言語自体に焦点を当てる「メタ言語機能」などを挙げました。そして、特に重要なのが「詩的機能」です。

詩的機能とは、メッセージ自体に注意を向けさせる機能であり、言語の形式的な側面、例えば音韻、リズム、統語構造などが強調されることで生まれます。ヤーコブソンは、詩ではこの詩的機能が他の機能よりも優勢になると主張しました。

共時態と通時態、そして時代性

ソシュールは、言語をある時点における静的なシステムとして捉える「共時態」と、時間経過に伴う変化を扱う「通時態」を区別しました。ヤーコブソンは、この考え方を文学研究にも応用しました。

文学作品は、それが書かれた時代の言語システム、慣習、思想などに影響を受けます。つまり、作品を理解するためには、その作品が書かれた時代背景、つまり「共時態」を考慮することが不可欠です。

文学史における進化と時代性の反映

ヤーコブソンは、文学史を、文芸形式や表現技法が変化していくダイナミックなプロセスとして捉えました。彼は、新たな文学運動は、既存の形式や慣習に対して反発し、それらを乗り越えようとすることで生まれてくると考えました。

この過程で、言語の詩的機能が重要な役割を果たします。詩人たちは、言語の形式的な側面に新たな可能性を見出し、それを駆使することで、時代の変化や意識の変容を表現しようと試みます。

文学作品の解釈と時代性

ヤーコブソンの理論は、文学作品を解釈する上で、時代性という要素を重視することの重要性を示唆しています。作品を深く理解するためには、その作品が書かれた時代の言語的、文化的、社会的背景を考慮する必要があると言えるでしょう。

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