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ヤーコブソンの言語学と詩学からの学び

## ヤーコブソンの言語学と詩学からの学び

言語の六つの機能とコミュニケーション

ヤーコプソンは、あらゆる言語活動において、以下の六つの機能が関与していると提唱しました。

* **指示的機能 (Referential function):** コンテキストに関する情報を伝達する機能。
* **表出的機能 (Emotive function):** 話者の感情や態度を表現する機能。
* **美的機能 (Poetic function):** メッセージ自身の形式に焦点を当てる機能。
* **交話的機能 (Phatic function):** コミュニケーションチャネルを確立・維持する機能。
* **メタ言語的機能 (Metalingual function):** 言語を用いて言語自身について言及する機能。
* **命令的機能 (Conative function):** 聞き手に特定の行動を促す機能。

詩的機能と文学性

ヤーコプソンは、これらの機能の中でも特に「詩的機能」に着目し、これを言語の文学的機能として位置づけました。詩的機能は、メッセージの内容よりも、その形式、すなわち音、リズム、語彙、統辞などに焦点を当てることで、言語に「自己言及性」をもたらします。

等価性と詩的機能

ヤーコプソンは、詩的機能が「等価性の原理」に基づいて作動すると説明しました。詩では、音韻や意味の類似性に基づいて、単語や句が互いに結び付けられます。この等価性の軸は、詩作品の様々なレベル(音韻、形態、統語、意味)にわたって展開され、複雑なネットワークを形成します。

言語の二つの軸

ヤーコプソンは、言語活動における二つの主要な軸として、「選択の軸」と「結合の軸」を提唱しました。

* **選択の軸 (Axis of selection):** 話者は、伝えたい内容に応じて、様々な言語的要素(単語、句、文法構造など)の中から適切なものを選択します。
* **結合の軸 (Axis of combination):** 選択された要素は、一定の規則に従って結合され、より大きな単位(句、文、談話など)を形成します。

ヤーコプソンによれば、詩的機能は、この二つの軸を横断的に作用し、選択と結合のプロセスを前景化します。

詩学と言語学の関係

ヤーコプソンは、詩学を言語学の一分野として捉え、詩的機能の研究が言語のメカニズムを理解する上で重要であると主張しました。彼の研究は、文学作品を言語学的分析の対象とすることの妥当性を示すとともに、言語学と文学研究の密接な関係を明らかにしました。

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