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ヤスパースの理性と実存と言語

## ヤスパースの理性と実存と言語

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理性と実存の隔絶

ヤスパースにおいて、人間存在の根幹をなす「実存」は、客観的な対象として把握できる「存在」とは根本的に異なるものです。理性は、概念を用いて対象を分析し、法則性や因果関係を見出すことで、世界を理解しようとします。しかし、実存は、このような理性の分析を超えた、個別的で一回的なものです。

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言語の限界と可能性

理性と実存の隔絶は、言語にも影響を与えます。言語は、理性的な概念によって成り立っており、客観的な対象について語ることを得意とします。しかし、実存のように、個別的で一回的なものを表現するには、限界があります。

ヤスパースは、実存を直接的に表現することは不可能だとしながらも、言語は間接的に実存を指し示すことができると考えました。詩や哲学、宗教などの象徴的な表現は、理性の限界を超えて、実存の深淵へと読者を導く可能性を秘めているのです。

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超越者とのコミュニケーション

ヤスパースは、実存は「超越者」との関係においてのみ、真に理解されると考えました。超越者とは、神や絶対者、究極的な実在など、人間の理性では捉えきれない存在を指します。

言語は、超越者について語るには不完全な道具です。しかし、限界を自覚しつつ、象徴的な表現を用いることで、超越者との対話、すなわち「啓示」を経験することが可能になります。この啓示を通して、人間は自らの実存の根源に触れ、真の意味での自由と責任を自覚することができるのです。

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