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ヤコブソンの言語学と詩学を読む

## ヤコブソンの言語学と詩学を読む

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言語の機能と詩的機能

 ロシア・フォルマリズムを代表する言語学者であり文芸理論家であるロマン・ヤーコブソンは、彼の論文「言語学と詩学」において、人間の言語活動における六つの機能を提示しました。 それは、

* **指示的機能**: 文脈へ向けられる機能
* **表出的機能**: 話者へ向けられる機能
* **美的機能**: メッセージ自身へ向けられる機能
* **交話的機能**: 接触の確立と維持という機能
* **メタ言語的機能**: コードへ向けられる機能
* **詩的機能**: メッセージがどのように構成されているかに向けられる機能

です。ヤーコブソンは、これらの機能はすべての言語活動において何らかの形で作用するものの、特定の機能が他の機能よりも優勢になることがあると主張しました。

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詩的機能と等価性

 ヤーコブソンによれば、詩的言語は、メッセージそのものに焦点を当てる「詩的機能」が優勢な言語です。 詩的言語においては、言語は単なるコミュニケーションの手段ではなく、それ自体が意味や効果を生み出すための素材となります。 彼は、詩的機能の本質を「等価性の軸における選択の投射」という言葉で表現しました。これは、詩的言語が、通常の意味での選択 (selection) だけでなく、音韻やリズム、意味などの類似性に基づく等価性 (equivalence) をも考慮した選択によって成り立っていることを意味します。

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詩的言語の分析

 ヤーコブソンは、詩的言語を分析するための枠組みとして、「組み合わせ」と「交替」という二つの軸を提示しました。

* **組み合わせ**: 言語要素が文や節の中でどのように結びついているか
* **交替**: ある言語要素が別の言語要素とどのように置き換えられるか

詩的言語においては、これらの軸に沿って、音韻、文法、意味などの様々なレベルで等価性が作り出されます。

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影響と評価

 ヤーコブソンの「言語学と詩学」は、20世紀後半の文芸理論に多大な影響を与え、構造主義批評や記号論的批評の発展に貢献しました。 彼の詩的機能の概念は、詩だけでなく、小説、演劇、映画など、様々な芸術作品の分析に応用されています。

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