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ヤコブソンの言語学と詩学の原点

## ヤコブソンの言語学と詩学の原点

言語学と詩学の統合

 ロマン・ヤーコブソンは、20世紀を代表する言語学者・文芸理論家の一人であり、彼の業績は言語学と文芸批評の両方に大きな影響を与えました。特に、彼の言語理論に基づいた詩学は、文学作品を言語学的視点から分析する手法を提供し、新しい文芸批評の可能性を切り開いたと言えます。

ロシア・フォルマリズムの影響

 ヤーコブソンの詩学の原点は、彼が初期に携わったロシア・フォルマリズムに深く根ざしています。ロシア・フォルマリズムは、1910年代から1920年代にかけてロシアで興隆した文芸批評の潮流であり、文学作品を自律的な構造体として捉え、その形式的特性を分析することに重点を置きました。ヤーコブソンは、モスクワ言語サークルの中心人物として、この運動に積極的に参加し、その理論的枠組みの構築に大きく貢献しました。

構造主義言語学の導入

 ヤーコブソンの詩学は、ロシア・フォルマリズムの形式主義的な視点を継承しつつ、そこにフェルディナン・ド・ソシュールの構造主義言語学を導入することで、より洗練された理論へと発展しました。ソシュールの構造主義言語学は、言語を記号の体系として捉え、個々の記号の意味は、体系内部における他の記号との差異によって決定されると考えます。ヤーコブソンは、この考え方を文学作品にも適用し、文学言語を日常言語とは異なる独自の体系を持つものとして分析しました。

コミュニケーションモデルの応用

 ヤーコブソンは、自身の詩学において、言語のコミュニケーション機能に着目し、それを図式化したコミュニケーションモデルを提示しました。このモデルは、発信者、受信者、メッセージ、コンテキスト、コード、接触という6つの要素から構成され、それぞれの要素が文学作品における役割を担っています。ヤーコブソンは、特に詩的機能と呼ばれる要素に注目し、それが文学作品における言語の自己言及的な性質を明らかにすると主張しました。

メタ言語機能と詩的機能の関連性

 ヤーコブソンの詩学において、メタ言語機能は重要な役割を果たします。メタ言語機能とは、言語を用いて言語自体について言及する機能であり、例えば、辞書や文法書などに見られる言語の使用法が挙げられます。ヤーコブソンは、詩的機能がメタ言語機能と密接に関係していると考えました。詩的機能は、言語を自己言及的に用いることで、言語自体に注意を向けさせ、その形式的側面を際立たせる効果を持ちます。

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