## モーロワの結婚・友情・幸福の対極
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愛と憎しみの対比
アンドレ・モーロワの「結婚・友情・幸福」は、その名の通り、人生における幸福を追求した作品です。結婚、友情、幸福といった普遍的なテーマを、フランス文学らしい洗練された文体で、人生の指針となるような教訓を交えながら論じています。
一方、モーロワの作品とは対極に位置する作品群として、愛と憎しみ、生と死、善と悪といった、人間の根源的な二項対立を鋭く描いた作品が挙げられます。これらの作品は、必ずしも幸福な結末を迎えるとは限らず、むしろ人間の弱さや残酷さ、社会の矛盾を容赦なく描き出すことで、読者に深い問いを投げかけます。
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具体的な作品の例
例えば、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」は、人間の心の奥底に潜む愛と憎しみ、信仰と無神論、罪と罰といった対立を、壮大なスケールで描いた作品です。登場人物たちの苦悩や葛藤を通して、人間の存在意義や神の存在について深く考えさせられます。
また、サルトルの「嘔吐」は、実存主義を代表する小説として知られ、主人公ロカンタンが感じる、世界に対する強烈な吐き気を通して、人間の自由と孤独、存在の不条理を描いています。
これらの作品は、モーロワの作品のように、幸福を追求したり、人生の指針を示すような作品ではありません。むしろ、人間の心の闇や世界の不条理を容赦なく描き出すことで、読者に深い絶望感や虚無感を与えることさえあります。
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対極に位置するからこその意義
しかし、だからこそ、これらの作品は、モーロワの作品とは異なる角度から、人間存在や人生の意味について深く考えさせてくれるという点で、重要な意味を持つと言えるでしょう。