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モームの月と六ペンスを面白く読む方法

モームの月と六ペンスを面白く読む方法

1. 登場人物のモデルとなった画家、ゴーガンを調べながら読む

「月と六ペンス」は、フランスの後期印象派の画家、ポール・ゴーガンをモデルにしたとされています。ゴーガンは、株式仲買人として成功していたにもかかわらず、突如その地位を捨てて画家を志した異色の経歴の持ち主です。小説を読み進めながら、ゴーガンの人生と重ね合わせ、主人公ストリックランドの言動や心理描写の裏に隠された意味を読み解いていくと、より深く物語を楽しむことができるでしょう。

例えば、ゴーガンはタヒチという南国の島に移り住み、そこで多くの傑作を生み出しました。ストリックランドもまた、文明社会を離れ、自然豊かなタヒチ島で創作活動に没頭します。ゴーガンの人生と比較することで、ストリックランドがなぜ文明社会を捨て、芸術に人生を捧げる道を選んだのか、その心理的な葛藤や芸術への情熱をより深く理解することができます。

2. ストリックランドの視点になって物語世界を想像する

「月と六ペンス」は、ストリックランドの視点ではなく、彼の才能に魅せられながらも翻弄されることになる「私」の視点から語られます。ストリックランドは、周囲の人間関係を顧みず、自分の芸術だけを追求する人物として描かれています。

彼の行動は、一般的な倫理観からすると理解しがたいものも多いでしょう。しかし、彼の視点に立って物語世界を想像してみると、彼の行動原理や心理状態がより深く理解できるかもしれません。

例えば、彼がなぜ家族を捨てたのか、なぜ周囲の人々に冷淡な態度をとるのか、なぜ自分の作品を世間に発表しようとしなかったのか。これらの疑問について、ストリックランドの立場になって考えてみることで、彼の芸術に対する純粋な情熱や、妥協を許さない強い意志が見えてくるはずです。

3. 当時の社会背景やモーム自身の価値観を考察する

「月と六ペンス」は、1919年に発表されました。第一次世界大戦直後の混沌とした社会情勢の中、人々は価値観の転換を迫られていました。モーム自身もまた、従来の価値観に疑問を抱いていた一人でした。

小説の中で、ストリックランドは、物質的な豊かさや社会的な成功よりも、芸術的な真実を追求することを選びます。これは、当時の社会通念からすると非常に異端な生き方でした。モームは、ストリックランドという人物を通して、従来の価値観にとらわれない、新しい生き方を提示しようと試みたのかもしれません。

作品を読み解く際には、当時の社会背景やモーム自身の価値観を考慮することで、より深い理解を得ることができるでしょう。

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