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モームの月と六ペンスの表現について

## モームの月と六ペンスの表現について

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対比による人物描写

作中では、対比的な人物配置が効果的に用いられています。

例えば、現実的な思考を持つ「語り手」と、芸術に全てを捧げるストリックランドの対比が挙げられます。

語り手は、常識や倫理観を重んじる一方で、ストリックランドはそれらを完全に無視し、自身の内なる衝動にのみ従って行動します。

このような対比を通して、読者はストリックランドの常軌を逸した芸術への情熱と、その裏にある人間性の複雑さをより鮮明に感じ取ることができます。

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象徴的なモチーフ

モームは、登場人物や状況を象徴的に表現するために、様々なモチーフを用いています。

特に重要なのが、「月」と「六ペンス」というタイトルにも用いられているモチーフです。

「月」は、ストリックランドが到達しようとする高尚な芸術の世界、理想や夢を象徴しています。

一方、「六ペンス」は、現実の生活、金銭や社会的地位など、一般的な価値観を象徴しています。

ストリックランドは、六ペンスの世界を完全に捨て去り、月に向かって突き進んでいく人物として描かれています。

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簡潔で鋭い筆致

モームの文章の特徴として、無駄を削ぎ落とした簡潔で鋭い筆致が挙げられます。

彼は、登場人物の心理描写や情景描写においても、過剰な修飾語を避け、最小限の言葉で最大の効果を狙っています。

例えば、ストリックランドの妻が彼のもとを去る場面など、劇的な出来事でさえも、淡々とした筆致で描かれています。

このような簡潔な表現は、読者に想像の余地を与え、作品世界への没入感を高める効果を生み出しています。

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