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モームの月と六ペンスの発想

## モームの月と六ペンスの発想

モーム自身の言葉

モーム自身は、本書の着想について、いくつかのエッセイや書簡の中で触れています。

* **ゴーギャンとの出会い:** モームは1914年、パリの画商の店で、ポール・ゴーギャンの絵画を初めて目にしました。その時の衝撃と感動が、その後もモームの心に深く残り、「月と六ペンス」の着想へと繋がったとされています。モームはこの時の経験について、以下のように記しています。

> 私は、まるで自分の内奥を覗き込まれたような、奇妙な感覚に襲われた。それは、言葉では言い表せないほどの、強烈な体験だった。

* **「人間の偉大さ」への興味:** モームは、ゴーギャンの生き様を通して、「人間の偉大さ」について深く考えるようになりました。ゴーギャンは、世間的な成功を捨て、芸術にすべてを捧げた人物です。モームは、ゴーギャンの中に、人間存在の根源的な力強さを見出したのかもしれません。

モデルとされた人物

「月と六ペンス」の主人公チャールズ・ストリックランドは、その生き様や性格が、画家ポール・ゴーギャンを強く彷彿とさせます。

* **共通点:** ストリックランドとゴーギャンは、ともに妻子を捨て、絵画に人生を捧げたという点で共通しています。また、どちらも社会的な規範や倫理観にとらわれず、自分の信念に忠実に生きた人物として描かれています。

* **相違点:** ただし、モーム自身は、ストリックランドはゴーギャンの単なる模倣ではないと明言しています。ストリックランドは、ゴーギャンをモデルとしながらも、モーム自身の想像力によって創造された、独自の個性を備えた人物と言えるでしょう。

「月と六ペンス」というタイトル

「月」は崇高な理想や芸術を、「六ペンス」は現実的な生活や物質的な豊かさを象徴しています。主人公ストリックランドは、六ペンス(現実)の世界に背を向け、月(芸術)の世界へと足を踏み入れていきます。この対比は、作中で繰り返し描かれる、現実と理想の対立を象徴しています。

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