## モンテーニュのエッセイに関連する歴史上の事件
フランス宗教戦争
ミシェル・ド・モンテーニュ(1533-1592)は、フランス史における最も血なまぐさい激動の時代、フランス宗教戦争(1562-1598)のさなかに生きました。カトリックとプロテスタント(ユグノー)の間で繰り広げられたこの宗教戦争は、モンテーニュの人生と著作に深く影響を与えました。
モンテーニュ自身はカトリックの家庭に生まれましたが、寛容の重要性を強く説き、宗教的な狂信を激しく批判しました。彼のエッセイには、宗教戦争の残虐行為を目の当たりにしたことによる恐怖と嫌悪感が如実に表れています。
例えば、「人間の偉大さについて」というエッセイの中で、モンテーニュは宗教の名の下に行われる残虐行為を非難し、人間は自分たちの正義を絶対視するあまり、残虐行為に走ってしまうと主張しています。また、「慣習について」というエッセイでは、宗教的な慣習を含むすべての慣習は相対的なものであり、絶対的な真理として盲信すべきではないと論じています。
サン・バルテルミの虐殺
1572年8月24日に発生したサン・バルテルミの虐殺は、フランス宗教戦争の中でも特に凄惨な事件であり、モンテーニュに深い衝撃を与えました。
この虐殺は、パリで多数のユグノーがカトリック教徒の暴徒によって殺害された事件です。モンテーニュは、この事件をきっかけに、人間の残虐性と狂気に直面し、人間存在の不確実性について深く考えるようになったと言われています。
モンテーニュのエッセイには、サン・バルテルミの虐殺を直接的に扱った箇所はありませんが、人間の残虐性や狂気に対する恐怖、そして宗教的な寛容の必要性を訴える彼の思想は、この事件と無関係ではないでしょう。