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モンテーニュのエセーの対称性

モンテーニュのエセーの対称性

エセーの構成における対称性

モンテーニュのエセーは、一見すると、気まぐれで散漫な印象を与えます。アネクドート、古典からの引用、個人的な内省が、明確な構成を持たずに次々と現れるように見えるからです。しかし、注意深く読むと、モンテーニュは意識的に、時には隠喩やイメージを通じて、対称的な構造をエッセイに組み込んでいることがわかります。

「私について」という主題の反復

最も明白な対称性のひとつは、「私について」という主題の反復です。モンテーニュは、エセーを「自分自身を描く試み」と表現しており、この試みは、彼の思考、感情、経験を探求するという形で、エッセイ全体にわたって繰り返し現れます。この自己言及的な性質は、エッセイに独特の円環的な構造を与え、「始まり」と「終わり」の明確な境界線を曖昧にします。

多様な主題の対比

モンテーニュは、自己探求という中心テーマを軸に、多様な主題を対照的に配置することで、対称性を生み出しています。彼は、人生と死、快楽と苦痛、理性と情熱など、相反する概念を対比させながら、人間の経験の複雑さを浮き彫りにします。これらの対比は、単なる修辞技法を超えて、彼の思想の深淵を照らし出す鏡のような役割を果たしています。

文体における対称性

モンテーニュの文体にも、対称性が見て取れます。彼は、長文と短文、複雑な構文と簡潔な表現を巧みに組み合わせることで、リズムとバランスを生み出しています。また、逆説や反語などの修辞技法を駆使することで、多角的な視点から物事を捉え、思考の柔軟性を表現しています。

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