## モンテスキューの法の精神の対極
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ジャン・ジャック・ルソー『社会契約論』
モンテスキューの『法の精神』が権力分立制など現実的な政治体制を論じたのに対し、ルソーの『社会契約論』はより理想主義的で、社会における個人の自由と平等を重視した社会契約の概念を提示しました。
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ルソーの思想:一般意志と人民主権
ルソーは、人間は本来自由で平等な存在であるにもかかわらず、社会の中で不平等や抑圧が生じていると考えました。彼は、この問題を解決するために、人々が自らの自由を共同体に完全に委ね、その共同体が個人の自由と幸福を実現する「一般意志」に基づいて統治されるべきだと主張しました。
ルソーが提唱する「一般意志」は、単なる多数派の意見や個々の意志の総和ではなく、共同体の共通の善、すなわち公共の福祉を実現するための意志です。そして、この一般意志に基づいて政治を行う主体が「主権者」であり、それは人民自身であるとしました。
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モンテスキューとの対比
モンテスキューが権力の分散と抑制による自由の保障を目指したのに対し、ルソーは人民の直接参加による積極的な自由の実現を構想しました。モンテスキューは、現実の政治における権力闘争を前提に、それを抑制するための制度設計に重点を置きましたが、ルソーは理想的な共同体における個人の自由と幸福の実現を追求し、そのための政治形態として直接民主制を支持しました。