## モンテスキューの法の精神の力
権力分立論の提唱
モンテスキューは、「法の精神」の中で、自由を守るためには権力を分割し、それぞれの権力が相互に抑制し合う必要があると説きました。これは権力分立論と呼ばれ、後の近代立憲主義に大きな影響を与えました。
具体的には、立法権、行政権、司法権の三権を挙げ、それぞれの権限を異なる機関に与え、互いに牽制し合うことで、一極的な権力の集中とそれによる tyranny (専制) を防ごうとしました。
政治体制の類型化
モンテスキューは、政治体制を共和政、君主政、専制政治の三つに類型化し、それぞれの体制における支配の原理を明らかにしました。
* **共和政**は、市民全体の徳、すなわち公共心に基づく政治形態です。
* **君主政**は、国王による統治を基本としつつも、法によって制限された政治形態です。
* **専制政治**は、恐怖によって支配が維持される政治形態であり、法の支配は存在しません。
彼は、それぞれの政治体制が異なる原理に基づいて運営されることを示し、法の精神と政治体制の密接な関係を明らかにしました。
気候風土論
モンテスキューは、「法の精神」において気候や風土が国民性や政治体制に影響を与えるという気候風土論を展開しました。
例えば、寒冷地では人々は活発で独立心が強い傾向にあり、共和政に適しているとし、反対に、温暖な気候では人々は受動的で従順になりやすく、専制政治が成立しやすいとしました。
気候風土論は、法や政治制度が、それぞれの国の歴史や文化、自然環境といった具体的な条件に適合している必要があることを示唆しています。
歴史的文脈
「法の精神」は、フランス絶対王政下の18世紀フランスで書かれました。当時のフランスは、国王の権力が強く、市民は政治的な自由を制限されていました。
モンテスキューは、イギリスの政治制度を参考にしながら、権力分立や法の支配といった思想を展開し、フランス社会を批判しました。
「法の精神」は、当時のフランス社会に大きな影響を与え、後のフランス革命の思想的な基盤の一つとなりました。