モリエールの人間嫌いを読んだ後に読むべき本
**パスカル、パンセ**
モリエールの『人間嫌い』は、人間の本質の否定的な側面を痛烈に風刺した作品です。主人公アルセストは、社交界の偽善と欺瞞に嫌気がさし、人間社会から完全に離れようとします。
パスカルの『パンセ』は、人間の矛盾と悲惨さを深く考察した哲学的断章集です。人間は「考える葦」であると同時に、自己欺瞞や虚栄心に満ちた存在であるとパスカルは喝破します。
『人間嫌い』を読んだ後、『パンセ』を読むことで、人間の心の奥底に潜む複雑な感情や、社会生活における矛盾について、より深く考えることができるでしょう。アルセストの極端な人間嫌いは共感を呼ぶのは難しいかもしれませんが、パスカルの鋭い洞察は、私たち自身の弱さや愚かさを認め、より謙虚な姿勢で世界と向き合うことを促してくれます。
具体的には、『パンセ』には、次のようなアルセストの主張と共鳴する箇所が見られます。
* **「人間は、考えること以外はすべて惨めである。」** この一文は、人間存在の矛盾を端的に表しています。アルセストは、人間が理性的に振る舞うことができず、常に感情や欲望に振り回されていると考えています。
* **「人間の偉大さは、自分が惨めであることを知るところにある。」** アルセストもまた、人間の弱さや愚かさを自覚しているからこそ、人間社会から距離を置こうとします。
* **「心の底には、理性では知りえない理由がある。」** アルセストの行動の根底には、彼自身の過去の経験や心の傷など、理性では説明できない複雑な要因が隠されている可能性があります。
『パンセ』を読むことは、アルセストの心の奥底に潜む葛藤や苦悩を理解する手がかりになるかもしれません。同時に、私たち自身の内面にも目を向け、人間存在の矛盾や複雑さに向き合うことを促してくれるでしょう。