## モリエールの人間嫌いの表象
アルセストの人間嫌いの特徴とは？
モリエールの戯曲「人間嫌い」の主人公アルセストは、人間の持つ虚飾や欺瞞、偽善を激しく憎悪し、人間社会から離れようとします。彼の特徴は、妥協を許さず、徹底的に正直であろうとする点にあります。社交界で横行するお世辞や虚言、うわさ話や体裁ばかりを気にする風潮に我慢できず、怒りを露わにします。
例えば、劇中でアルセストは、旧友フィラントが詩の出来栄えを褒められる場面で、その詩を酷評します。社交辞令として当たり障りのない言葉を述べることを拒み、自分の正直な気持ちをぶつけるのです。このため、周囲からは変わり者扱いされ、恋人セリーメーヌからも誤解を受けます。
しかし、アルセストの人間嫌いは、単なる人間憎悪ではありません。彼は人間の本質的な善良さを信じており、人間社会が持つ矛盾や欺瞞を悲観しているとも言えます。彼の理想は、正直さや誠実さの上に成り立つ人間関係であり、それを実現するために、あえて周囲と対立することを選びます。