モリエールの人間嫌いに関連する歴史上の事件
モリエールの生きた時代背景
17世紀のフランスは、ルイ14世の治世下、絶対王政の時代でした。貴族社会が華やかさを誇る一方で、貧富の差は激しく、厳しい階級制度が存在していました。人々は己の出世や保身のため、虚栄や欺瞞に満ちた行動をとることが常態化していました。
モリエールの作品に描かれた人間嫌悪
モリエールは鋭い観察眼で人間の偽善や愚かさを捉え、風刺喜劇という形で作品に昇華させました。「タルチュフ」では偽善的な宗教家を、「ドン・ジュアン」では放蕩な貴族を、「ミザントロプ」では人間嫌いの主人公を通して、人間の欺瞞や道徳の退廃を痛烈に批判しました。
「ミザントロプ」とアルマン侯爵事件
「ミザントロプ」の主人公アルセストは、人間の偽善を嫌悪し、正直さのみを追求するあまり、周囲との摩擦を生み出してしまう人物です。モリエール自身も、作品を通して社会の偽善を批判することで、多くの敵を作りました。
モリエールとルイ14世の関係
ルイ14世はモリエールの才能を認め、庇護者として彼を支えました。しかし、モリエールの風刺の矛先は、時に権力者層にも向けられました。権力者の不興を買いながらも、モリエールは自身の信念を曲げずに創作活動を続けました。
「タルチュフ」の上演禁止とモリエールの抵抗
「タルチュフ」は宗教を偽善的に利用する人物を描いた作品であり、当時の宗教界から激しい批判を受けました。上演は5年間も禁止されましたが、モリエールは諦めることなく、ルイ14世に嘆願書を提出するなど、上演許可を求め続けました。
モリエールの人間嫌いの真意
モリエールは人間そのものを嫌悪していた訳ではなく、人間が持つ弱さや愚かさ、そしてそれによって生じる欺瞞や偽善を憎んでいたと言えるでしょう。彼の作品は、人間に対する愛情の裏返しであり、より良き社会への願いが込められていました。