## モリエールのタルチュフの対称性
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登場人物の対称性
タルチュフとオルゴンの関係は、劇中で重要な対称性を示しています。オルゴンはタルチュフに盲目的に心酔し、家族の声に耳を傾けず、彼を絶対的な存在として崇拝します。一方、タルチュフは、オルゴンの信頼を利用し、彼の財産と家族を手に入れようとします。
この二人の関係は、鏡像のような対称性を示しています。オルゴンはタルチュフに理想的な信仰の姿を見出し、タルチュフはオルゴンの盲信を利用する。これは、信仰と偽善、純粋さと欺瞞という対照的な要素が、二人の登場人物を通じて描かれていることを示唆しています。
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場面の対称性
劇中には、対称的な場面がいくつか登場します。例えば、タルチュフがエルミールを口説く場面と、オルゴンがテーブルの下に隠れて二人の会話を盗み聞きする場面は、対称的な構造を持っています。
前半では、タルチュフは聖職者の仮面をかぶりながら、エルミールに卑猥な言葉を囁きます。後半では、オルゴンはタルチュフの真実の姿を目の当たりにすることで、彼の正体を見抜きます。
この対称的な場面構成は、タルチュフの偽善性を強調すると同時に、オルゴンの盲信がいかに危険なものであるかを浮き彫りにしています。