## モアのユートピアの構成
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第一部
第一部は、トマス・モアがフランダースに旅行した際に出会った、航海士ヒュスローデェスの口を通して、当時のヨーロッパ社会、特にイギリス社会における様々な問題点を批判的に描いています。
具体的には、私有財産制に基づく貧富の格差、不労所得で贅沢な暮らしをする貴族や僧侶、貨幣経済の弊害、戦争や犯罪の横行などが挙げられます。
また、羊毛生産のために農地が囲い込まれ、農民が土地を追われる「囲い込み運動」についても言及し、それが社会不安や貧困を招いていると指摘しています。
これらの問題は、ヒュスローデェスとモアの会話、そしてモアとピーター・ジギルスとの会話の中で展開されます。
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第二部
第二部では、ヒュスローデェスが旅の途中で訪れた理想郷「ユートピア」について、その社会制度、政治体制、経済活動、宗教観、教育制度、日常生活など、多岐にわたる側面が詳細に語られます。
ユートピアは、私有財産制を否定し、財産の共有、労働の義務、完全な平等を実現した社会として描かれています。
また、宗教的寛容、安楽死の容認、奴隷制度の存在など、当時のヨーロッパ社会の常識とは異なる独自の価値観を持つ社会でもあります。
ユートピアの描写は、ヒュスローデェスの視点から語られるため、読者はあたかも自分がユートピアを訪れたかのような臨場感を得ることができます。