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モアのユートピアの技法

## モアのユートピアの技法

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対話形式

「ユートピア」は、モア自身を登場させる対話形式で書かれています。これは、プラトンが「国家」で用いた手法と同じく、登場人物たちの議論を通してユートピア思想を浮かび上がらせる効果的な方法です。モア自身は、対話の中で、必ずしもユートピアの制度すべてに賛成しているわけではなく、むしろ批判的な立場をとることさえあります。
このことにより、読者は一方的なユートピア賛歌として受け取るのではなく、それぞれの制度や思想について、自分自身で深く考えることを促されます。

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架空の旅行記

「ユートピア」は、架空の旅行者であるヒュスローデェスの語りを借りて、ユートピア島の様子が語られるという形式をとっています。
これは、読者に未知の世界を旅するような感覚を与えるとともに、当時のヨーロッパ社会とは全く異なる社会構造や価値観を持つユートピアを、より具体的に、そしてリアリティをもって描き出す効果があります。
また、ヒュスローデェスは、ユートピアを客観的に観察し、詳細に報告する役割を担っており、彼の視点を通して、読者はユートピアの社会システム、宗教、文化、生活様式などを具体的に理解することができます。

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諷刺

「ユートピア」では、理想社会として描かれるユートピアと、当時のヨーロッパ社会を対比させることで、当時の社会における問題点を浮き彫りにしています。
例えば、ユートピアでは私有財産制が否定されていますが、これは、当時のヨーロッパ社会における貧富の差や所有欲の問題を暗に批判していると考えられます。
このように、「ユートピア」は、単に理想社会を描くだけでなく、現実社会に対する鋭い批判を含んでいる点が特徴です。

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