Skip to content Skip to footer

メンガーの国民経済学原理を面白く読む方法

メンガーの国民経済学原理を面白く読む方法

第一章 国民経済学の対象と方法について

カール・メンガーの『国民経済学原理』は、近代経済学の基礎を築いた重要な著作ですが、現代の読者にとっては難解で退屈に感じられるかもしれません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、この古典的な著作をより面白く、そして深く理解することができます。

まず、メンガーがこの本を書いた目的を理解することが重要です。彼は、当時の経済学が複雑な数学に偏っていることを批判し、人間の行動と選択というより基本的な原理から経済現象を説明しようとしました。彼は、価値や価格、交換、貨幣といった経済現象が、人間の欲求とそれを満たそうとする行動からどのように生じるのかを明らかにしようとしました。

第二章 財について

メンガーの経済学の中心には、「財」の概念があります。財とは、人間の欲求を満たすことができるものであり、人間の欲求と財との関係から経済現象を説明しようとするのがメンガーの経済学の特徴です。

彼は財をいくつかの種類に分類し、それぞれの特徴を詳しく分析しています。例えば、消費財と生産財、上位財と下位財、代替財と補完財といった分類は、現代の経済学でも重要な概念となっています。

これらの分類を理解することで、私たちが日常的に行っている経済活動、例えば商品の購入やサービスの利用などが、人間の欲求と財との関係からどのように説明できるのかが見えてきます。

第三章 経済的主体、経済財、経済量、経済的価値

メンガーは、人間の経済活動を理解する上で、「経済的主体」、「経済財」、「経済量」、「経済的価値」という四つの要素が重要であると述べています。

「経済的主体」とは、経済活動を行う主体であり、個人や家計、企業などがこれにあたります。そして、「経済財」とは、前述の通り人間の欲求を満たすことができる財のことです。

「経済量」は、財の数量や価格、生産量などを指し、経済現象を数値的に把握するために必要な要素です。そして、「経済的価値」とは、財が人間にとってどの程度の重要性を持つのかを示すものであり、人間の主観的な評価によって決まります。

メンガーは、これらの要素間の相互作用によって経済現象が説明できると考えました。例えば、商品の価格は、需要と供給の関係、すなわち消費者の経済的価値と生産者の経済量とのバランスによって決まります。

第四章 価値について

メンガーは、財の価値は客観的なものではなく、人間の主観的な評価によって決まると考えました。この考え方は、「限界効用理論」として知られており、現代の経済学においても重要な理論の一つとなっています。

限界効用理論とは、簡単に言えば、財の価値は、その財を消費することによって得られる満足度(効用)によって決まり、財の数量が増えるにつれて、追加的に得られる満足度(限界効用)は逓減していくというものです。

例えば、喉が渇いている時に飲む一杯目の水は、非常に高い満足度を得られますが、二杯目、三杯目と飲むにつれて、得られる満足度は徐々に減っていきます。このように、財の価値は、その時の状況や人間の欲求によって変化するものであり、客観的に決まるものではありません。

第五章 価格について

財の価値は主観的なものですが、市場では、財は客観的な「価格」で取引されます。メンガーは、この価格がどのようにして決まるのかを、需要と供給の関係から説明しました。

需要とは、消費者が財を購入したいという欲求のことであり、供給とは、生産者が財を販売しようとする行為のことです。財の価格が低い場合には、需要が供給を上回り、価格が上昇します。逆に、価格が高い場合には、供給が需要を上回り、価格が下落します。そして、需要と供給が一致する点で、価格は均衡状態になります。

メンガーは、この価格決定のメカニズムを、具体的な事例を用いながら、分かりやすく解説しています。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5