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メンガーの国民経済学原理の評価

## メンガーの国民経済学原理の評価

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出版と歴史的背景

カール・メンガーの主著『国民経済学原理』は1871年に出版されました。これは、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズの『経済学の理論』(1871年) やレオン・ワルラスの『純粋経済学要論』(1874年) とほぼ時を同じくして発表されたことから、これらの著作と合わせて「限界革命」と呼ばれる経済学における大きな転換点をもたらしたとされています。

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内容と貢献

メンガーは本書において、経済学の中心に「価値」の概念を据え、それを主観的な「限界効用」によって説明しようと試みました。これは、当時の支配的な経済学派であった古典派経済学が、価値の源泉を労働や生産コストに求めていたのとは対照的な考え方でした。

メンガーは、財の価値は、それがもたらす満足度(効用)によって決まり、その効用は消費量が増えるごとに逓減していくという「限界効用逓減の法則」を主張しました。そして、人々は、それぞれの財の限界効用が価格と一致する点まで消費すると考えました。

さらに、財の価値は、その財から生産される最終消費財の限界効用によって決まるとする「帰属」の概念を提示し、生産要素の価値についても説明しました。

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評価と影響

『国民経済学原理』は、出版当初はあまり注目されませんでしたが、後に経済学者オイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクやフリードリヒ・フォン・ヴィーザーらによって再評価され、オーストリア学派と呼ばれる学派の礎となりました。

限界効用理論は、その後、アルフレッド・マーシャルらによって発展させられ、近代経済学の中核的な理論の一つとなりました。また、メンガーの主観的価値論は、後のオーストリア学派の経済学者たちに受け継がれ、市場プロセスや企業家精神の分析など、幅広い分野に影響を与えました。

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批判

メンガーの限界効用理論は、その後の経済学に大きな影響を与えましたが、一方でいくつかの批判も浴びてきました。例えば、効用を数値化することができないという点や、現実の経済現象を説明するには単純すぎるという点が指摘されています。

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