メンガーの国民経済学原理の表現
表現について
カール・メンガーの主著『国民経済学原理』(独: Grundsätze der Volkswirtschaftslehre)は、1871年に刊行されました。この著作は、限界効用理論に基づいた経済学の体系を初めて構築した画期的なものであり、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ、レオン・ワルラスと並んで、近代経済学の成立に貢献したと評価されています。
経済現象へのアプローチ
メンガーは、経済現象を人間の欲求とそれを満たすための財との関係から説明しようとしました。彼は、人間の欲求は無限に存在する一方で、それを満たすための財は有限であるという前提に立ち、経済学を「希少な財を人間の欲求充足のためにどのように配分するか」という問題として捉えました。
価値の主観性
メンガーは、財の価値は客観的なものではなく、人間の主観的な評価によって決まると考えました。彼は、「限界効用」という概念を用いて、財の価値は、その財の消費量が増加するにつれて得られる満足度(効用)が逓減していくことから生じると説明しました。
方法論的個人主義
メンガーは、経済現象を分析する際には、個人を基本単位として考えるべきだと主張しました。彼は、社会や国家といった集団は、あくまでも個人の集合体であり、それ自体が独立した意思や目的を持つものではないと考えました。
演繹法
メンガーは、経済学の分析においては、現実の観察に基づく帰納法ではなく、少数の公理から論理的な推論によって結論を導き出す演繹法を採用しました。彼は、経済学は自然科学と同様に、普遍的な法則を発見することを目的とする科学であると考えました。