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メンガーの国民経済学原理の構成

メンガーの国民経済学原理の構成

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序文

序文においてメンガーは、本書の目的が国民経済学の**真の理論**、すなわち経済現象の**因果関係**を明らかにする体系を構築することにあると宣言します。既存の経済学は記述的なものが多く、因果関係の解明が不十分であると批判し、自身の試みが新しい経済学の基礎となることを主張しています。

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第一部 財の一般的理論

第一部では、人間の**欲求**とそれを満たすための**手段**としての**財**の関係から経済活動を分析する、メンガー経済学の基礎が築かれます。

まず**財**の概念が定義され、財となるためには、人間の**欲求**、その欲求を満たす**有用性**、そしてその有用性に対する人間の**認識**が必要であるとされます。さらに財は、その**希少性**によって**経済財**と**自由財**に分類されます。

次に、財の**価値**が考察され、価値は客観的なものではなく、人間の**主観的な欲求満足度**に基づくものであると主張されます。そして、同一種類の財であっても、その価値は所有数量によって変化し、限界的な価値、すなわち**限界効用**が重要であると説かれます。

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第二部 経済財の理論

第二部では、具体的な経済現象である**財の交換**、**価格**、**貨幣**について、第一部で確立された財の価値論に基づいて分析が進められます。

まず**交換**の理論が展開され、交換は双方にとって利益をもたらす場合にのみ成立し、その交換比率は交換当事者の**主観的な価値評価**によって決定されると説明されます。

次に、**価格**の理論が展開され、価格は交換比率の客観的な表現であり、市場における多数の交換当事者の**需要**と**供給**の相互作用によって決定されると説明されます。

最後に、**貨幣**の起源と本質が考察されます。貨幣は、交換を促進するために自然発生的に選択された**最も売れやすい財**であるとされ、その価値は他の財と同様に、その**限界効用**によって決定されると説明されます。

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第三部 価格の理論

第三部では、**財の価格決定**のプロセスが、**生産要素市場**と**最終財市場**の相互作用を含めて、より詳細に分析されます。

まず、**生産**の概念が導入され、生産とは財の**効用**を変化させること、すなわち人間の欲求を満たせる状態にすることであると定義されます。そして、生産には**土地**、**労働**、**資本**といった生産要素が用いられ、それらの価格も最終財と同様に、**需要**と**供給**の相互作用によって決定されると説明されます。

次に、生産要素の価格決定が最終財の価格に及ぼす影響が分析され、生産要素の価格変化は、最終財の**供給量**と**供給価格**に影響を与え、最終的に市場価格を変化させると説明されます。

最後に、**利潤**の概念が導入され、利潤は不確実な将来における財の価値と現在の価値の差であり、企業家は**リスク**を負って生産活動を行うことで利潤を得ると説明されます。

「メンガーの国民経済学原理」は以上の三部構成によって、**主観的価値論**と**限界効用理論**を基盤とした、経済現象の因果関係を明らかにする体系的な経済学の構築を目指しています。

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