メンガーの国民経済学原理とアートとの関係
メンガーの経済学とアート
カール・メンガーは、19世紀後半に活躍したオーストリア学派の経済学者であり、「国民経済学原理」（1871年）はその主著として知られています。彼は本書において、経済現象を人間の主観的な価値判断や選択に基づいて説明する「限界効用理論」を体系的に展開しました。
アートの価値と主観的評価
メンガー自身は著書の中で芸術作品について直接論じていませんが、彼の経済理論はアートの価値を考える上でも示唆に富んでいます。 メンガーは、財やサービスの価値は客観的な基準によって決まるのではなく、それを必要とする人にとっての主観的な評価によって決定されると考えました。
希少性とアート
また、彼は財の価値は、その希少性によっても影響を受けると主張しました。財の供給量が少ないほど、人々はその財に対して高い価値を見出す傾向があります。 アート作品、特に一点物の作品は、その性質上、希少性が高いと言えます。
需要と供給、そしてアート市場
希少性に加えて、アート作品の価値は、需要と供給の関係にも大きく影響されます。 メンガーは、市場における価格メカニズムが、需要と供給のバランスを調整する役割を果たすと説明しました。 アート市場においても、需要の増加は価格の上昇を招き、供給の増加は価格の下落をもたらす可能性があります。