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メンガーの国民経済学原理が扱う社会問題

メンガーの国民経済学原理が扱う社会問題

1. 経済財と自由財の区別

メンガーは、人間の欲求と欲求を満たすための手段との関係から経済問題を捉えました。
彼はまず、財を経済財と自由財に区別しました。
経済財とは、人間の欲求に対して相対的に不足しており、所有に対して経済的な価値を持つ財です。
一方、自由財とは、空気や水のように、人間の欲求に対してあり余っており、所有に対して経済的な価値を持たない財です。
メンガーは、経済学の対象を、希少性を持つ経済財とその利用に関する人間行動に限定しました。

2. 価値の主観性と限界効用理論

従来の古典派経済学では、財の価値はその生産に要した労働量によって決まると考えられていました(労働価値説)。
しかし、メンガーは財の価値は、それが人間の欲求をどれだけ満たすことができるかという主観的な評価によって決まると主張しました。
彼は、財の価値は、その財の追加的な一単位がもたらす満足度(限界効用)によって決まるとする限界効用理論を展開しました。
限界効用は、財の保有量が増えるにつれて逓減していく傾向があります。

3. 交換の発生と価格形成

メンガーは、各経済主体が自己の効用を最大化するように行動すると考えました。
人々は、自分がより高い価値を置く財と、そうでない財を交換することによって、満足度を高めようとします。
交換は、お互いにとって有利な条件で行われます。
そして、多数の経済主体による交換のプロセスを通じて、財の価格が決定されると考えました。

4. 分配問題と生産要素

メンガーは、生産要素(労働、土地、資本)の価格も、それが生産する財の価値から派生すると考えました。
生産要素の所有者は、その生産要素がもたらす生産物の価値に応じて報酬を得ます。
つまり、賃金、地代、利潤は、それぞれ労働、土地、資本が生産に貢献した結果として得られる報酬であると説明しました。

5. 方法論的個人主義と社会現象の理解

メンガーは、経済現象を分析する上で、個人とその選択に焦点を当てる「方法論的個人主義」を重視しました。
彼は、社会や経済システムといった抽象的な概念ではなく、個人の行動とその相互作用から社会現象を理解しようとしました。
彼のこの考え方は、後のオーストリア学派経済学の基本的な方法論として受け継がれていくことになります。

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