## メルヴィルの白鯨の評価
出版当初の評価
* 1851年10月にイギリスで3巻立ての「The Whale」として出版されるも、評価は賛否両論だった。
* アメリカでは同年11月に「Moby-Dick; or, The Whale」として出版。こちらでも評価は分かれた。
* 当時の批評家からは、ストーリーの破綻や難解な文章、登場人物の異常さなどが批判の対象となった。
* 特に、エイハブ船長の狂気じみた復讐心や、白鯨モビーディックに対する執念の描写は、当時の読者には受け入れ難いものだった。
20世紀における再評価
* 20世紀初頭、モダニズム文学の隆盛とともに、メルヴィルの作品は再評価されるようになる。
* 特に「白鯨」は、その壮大なスケール、深遠なテーマ性、詩的な文章表現などが高く評価され、アメリカ文学の金字塔とみなされるようになった。
* 1920年代には、D.H.ロレンスやT.S.エリオットといった当時の著名な作家たちが「白鯨」を絶賛し、その文学的価値を広く世に知らしめた。
* この再評価の過程で、「白鯨」は単なる海洋冒険小説から、人間の業や自然との対峙、善悪の二元論を超えた深淵なテーマを内包する作品として認識されるようになった。
現代における評価
* 現代においても、「白鯨」はアメリカ文学を代表する傑作として、世界中で広く読まれ続けている。
* その文学的価値は揺るぎないものとされ、大学などでも重要な教材として扱われている。
* 映画化、舞台化も繰り返し行われており、時代を超えて愛される作品となっている。
* 一方で、その難解な文章や独特な構成、膨大なページ数などから、読破が難しい作品としても知られている。