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メリアムの政治権力の感性

## メリアムの政治権力の感性

政治における権力の概念を、ロバート・ダールの見解と比較しながら解説してください。


ロバート・ダールは、権力を「AがBにBが本来したがらない行動をさせることができる場合、AはBに対して権力を持っている」と定義し、行動主義的な観点から権力を捉えました。これは、観察可能な行動に焦点を当て、AがBに影響を与え、Bの行動を変化させることができる場合にのみ、権力が行使されたとみなす立場です。

一方、ハロルド・ラスウェルとエイブラム・キャプランと共に政治学における権力研究の先駆者として知られるチャールズ・メリアムは、権力をより広く、心理的な側面を含めて捉えようとしました。メリアムは、ダールのように権力を「他者を動かす能力」と定義する一方で、その行使方法として、物理的な強制だけでなく、心理的な操作や影響も含めている点が特徴です。

メリアムの考える権力の形態について、具体例を挙げながら説明してください。


メリアムは、著書”Political Power”において、権力が行使される具体的な形態として、以下の7つを挙げています。

1. **物理的な強制:** 最も直接的な権力の形態であり、暴力や監禁などを通じて他者の行動を制御します。
* 例:警察による逮捕、軍隊による武力行使

2. **経済的な報酬:** 金銭や財産などの経済的な利益を与えることで、他者の行動を誘導します。
* 例:昇進、減税、補助金

3. **社会的評価:** 社会的な地位や名誉などを与える、または奪うことで、他者の行動に影響を与えます。
* 例:勲章の授与、社会的制裁

4. **恐怖心:** 恐怖心を与えることで、他者の行動を抑制します。
* 例:プロパガンダによる敵国の脅威の誇張、暴力団による脅迫

5. **尊敬と愛情:** 尊敬や愛情を抱かせることで、自発的な服従を引き出します。
* 例:カリスマ的な指導者への支持、宗教的な指導者への帰依

6. **信念:** 特定のイデオロギーや価値観を信じ込ませることで、他者の行動を方向付けます。
* 例:ナチスドイツにおけるナチズムの浸透、宗教団体による布教活動

7. **言語による操作:** 言語を巧みに操ることで、他者の認識や感情に影響を与え、行動を誘導します。
* 例:政治家の演説、広告宣伝

これらの形態は単独で使われる場合もあれば、組み合わせて用いられる場合もあります。重要なのは、メリアムが、ダールの行動主義的な権力観を超えて、人間の心理や感情に訴えかけることで行使される権力の重要性を認識していたことです。

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