## メリアムの政治権力の思想的背景
### 1.
行動主義の影響
メリアムは、シカゴ大学のチャールズ・E・メリアム教授の下で政治学を学びました。メリアム教授は、政治を権力闘争と捉える「シカゴ学派」の中心人物であり、行動主義的な手法を用いて政治現象を分析することを重視しました。行動主義とは、観察可能な行動や経験的データに基づいて社会現象を科学的に研究するアプローチです。メリアムは、メリアム教授から強い影響を受け、政治権力を実証的に研究する重要性を認識しました。
### 2.
古典的な権力論からの脱却
メリアム以前の政治学では、権力は国家や法といった制度と結びつけて理解されることが一般的でした。しかし、メリアムは、このような形式的な権力観では、現実の政治における複雑な力関係を捉えきれないと批判しました。彼は、権力を「人間の行動に影響を与える能力」と定義し、制度的な枠組みを超えて、様々なレベルの人間関係において権力が行使されていることを明らかにしようとしました。
### 3.
多元主義的な社会観
メリアムは、社会を単一の支配構造によって統制されているのではなく、様々な集団や個人がそれぞれの利益を追求しながら相互作用する多元的な場として捉えていました。そして、政治権力は、これらの集団や個人が、自らの利益を実現するために、他の行為者を動員したり、資源を配分したりする際に発揮されると考えました。