## メリアムの政治権力の原点
### 政治における権力概念の重要性について
政治学において、「権力」は最も重要な概念の一つでありながら、その定義や解釈をめぐっては常に論争が絶えません。権力の概念をどのように捉えるかによって、政治現象の分析や理解は大きく変わる可能性があります。
### チャールズ・E・メリアムの登場と功績
アメリカの政治学者チャールズ・E・メリアム（1874-1953）は、20世紀前半に活躍し、政治における権力現象の解明に大きく貢献した人物です。シカゴ大学で長年教鞭を執り、ハロルド・ラスウェルやガブリエル・アーモンドなど、後に政治学の大家と呼ばれる多くの俊英を育てました。
### メリアムの政治観：行動主義の影響
メリアムは、従来の政治学が制度や法律といった形式的な側面に偏っていたことを批判し、政治の現実をより深く理解するためには、人間の行動や心理に目を向ける必要があると主張しました。これは、当時台頭してきた心理学や社会学の影響を受けた、行動主義と呼ばれる新しい学問潮流を反映したものでした。
### 権力の原点：人間の多様な欲求を満たす手段として
メリアムは、政治における権力の根源を、人間の根源的な欲求に求めました。人間は、安全の確保、社会的な承認、財産の獲得など、様々な欲求を持っています。そして、これらの欲求を満たすために、他者と協力したり、競争したりします。メリアムは、権力とは、このような人間関係の中で、自分の意志を他者に受け入れさせ、望ましい状態を実現するための能力であると定義しました。
### 権力の多様な形態：物理的な強制から心理的な操作まで
メリアムは、権力が行使される形態は多岐にわたると指摘しました。例えば、暴力や脅迫といった物理的な強制力だけでなく、金銭や地位といった報酬を与えることで、あるいは、言葉やシンボルを用いた心理的な操作によって、他者の行動をコントロールすることができます。