ミルトンの失楽園の案内
ミルトンと「失楽園」について
ジョン・ミルトン(1608-1674)は、清教徒革命(1642-1651)の時代を生きたイギリスの詩人です。共和主義者であったミルトンは、オリバー・クロムウェルの政府で要職を務めました。王政復古後、ミルトンは公職から追放され、晩年は失明と貧困に苦しみながらも「失楽園」を完成させました。
「失楽園」は、1667年に出版された10巻から成る長編叙事詩です。旧約聖書のエデンの園におけるアダムとイブの堕落を題材とし、サタンの反逆と地獄への追放、神の天地創造、アダムとイブの創造と楽園での生活、サタンの誘惑、アダムとイブの堕落と楽園追放などが壮大なスケールで描かれています。
「失楽園」の主題
「失楽園」は、単なる聖書の物語の再話ではなく、人間の自由意志、善と悪、罪と罰、神の摂理など、普遍的なテーマを扱っています。ミルトンは、神が人間に与えた自由意志と、その自由意志によって人間が罪を犯してしまう悲劇を描いています。
「失楽園」の特徴
「失楽園」は、壮大なスケール、高度な文体、複雑な構成、魅力的な登場人物など、多くの特徴を持つ作品です。
* **壮大なスケール:** 天国、地獄、エデンの園など、広大な舞台設定で物語が展開されます。
* **高度な文体:** ラテン語やギリシャ語からの借用が多く、華麗で荘厳な文体が用いられています。
* **複雑な構成:** 時間や場所を自由に行き来する構成がとられています。
* **魅力的な登場人物:** サタン、アダム、イブなど、個性豊かな登場人物が描かれています。
「失楽園」の影響
「失楽園」は、英語文学史上の最高傑作の一つとされ、後世の文学、美術、音楽などに多大な影響を与えました。ウィリアム・ブレイク、パーシー・ビッシュ・シェリー、メアリー・シェリーなどのロマン派の作家たちに大きな影響を与え、また、絵画、彫刻、オペラなどの題材としても繰り返し取り上げられてきました。