## ミルトンの『復楽園』の発想
ミルトンの信仰と聖書解釈
ジョン・ミルトンは敬虔なプロテスタントであり、聖書を神の言葉として深く信仰していました。彼は聖書を文学作品としても高く評価し、特に創世記は人類の起源と堕落、そして救済の物語として、彼に深いインスピレーションを与えました。『復楽園』は、この創世記、特にアダムとイブの楽園追放の物語を題材としています。
ミルトンは聖書の自由解釈を主張し、伝統的な教義にとらわれない独自の解釈を試みました。例えば、彼は三位一体説を否定し、キリストは神ではなく、神に創造された存在であると信じていました。このような彼の思想は、『復楽園』においても随所に反映されています。
叙事詩の伝統
ミルトンは古典文学にも精通しており、ホメロスやウェルギリウスといった古代ギリシャ・ローマの詩人たちを深く尊敬していました。彼は『復楽園』を、これらの先人たちの叙事詩の伝統を受け継ぐ、英語で書かれた偉大な国民的叙事詩とすることを目指しました。
『復楽園』は、英雄、戦争、冒険といった伝統的な叙事詩のテーマを扱いつつも、それらをキリスト教的な世界観の中で再解釈しています。例えば、サタンの反逆は、英雄的な行為としてではなく、神の秩序に対する重大な罪として描かれています。