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ミルトンの『失楽園』の対称性

## ミルトンの『失楽園』の対称性

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構成における対称性

『失楽園』は全12巻からなり、前半6巻と後半6巻の間に緩やかな対称性が見られます。

* **前半6巻:** サタンの地獄での活動と、アダムとイブの楽園での生活が描かれます。
* **後半6巻:** サタンによるイブの誘惑、アダムとイブの堕落、楽園からの追放、そして未来への希望が描かれます。

前半はサタンの力と狡猾さ、アダムとイブの純粋さと無垢さが対比的に描かれ、後半は罪の意識と罰、そして贖罪の可能性がテーマとなります。このように、前半と後半では主題や雰囲気が大きく異なるものの、サタンの反逆と人間の堕落という物語の中心軸を中心に、対称的な構造を形成しています。

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登場人物の対称性

作品中には、対照的な立場や性格を持つ登場人物が複数登場します。

* **サタンと神:** サタンは反逆者、神は絶対的な支配者として対峙しています。
* **サタンとアダム:** サタンは狡猾な誘惑者、アダムは純粋で無垢な存在として描かれます。
* **イブとアダム:** イブは好奇心旺盛で受動的な存在、アダムは理性と意志の強さを持ちながらも、イブへの愛ゆえに堕落します。

これらの対照的な登場人物たちの関係性を通して、善と悪、服従と反逆、愛と誘惑といった対照的なテーマが浮かび上がってきます。

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文体における対称性

ミルトンは『失楽園』において、荘厳で格調高い文体を用いています。特に、対句法を効果的に使用することで、文体にも対称性をもたらしています。

> **”Better to reign in Hell, than serve in Heav’n.”** (地獄で君臨するほうが、天国で仕えるよりもよい。)

この有名な一節のように、対照的な言葉を並べることで、サタンの反逆精神や葛藤を強調する効果を生み出しています。

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