## ミルズのパワー・エリートの評価
###
ミルトン・フリードマンによる批判
ミルトン・フリードマンは、ミルズの「パワー・エリート」論を、アメリカの現実を反映していない、イデオロギー的なバイアスがかかったものとして批判しました。彼は、ミルズが提示するような、一枚岩の、自己認識を持ち、共通の利益のために結束したエリートの存在を否定しました。フリードマンは、アメリカ社会は多元的で競争的な社会であり、様々なグループが権力を争っていると主張しました。
###
ダールによる多元主義理論
ロバート・ダールは、著書『誰が支配するのか？』の中で、ミルズの「パワー・エリート」論に対抗する「多元主義」理論を展開しました。ダールは、ニューヘイブン（コネチカット州）の政治過程を詳細に分析し、特定のグループが常に政治的意思決定を支配しているわけではなく、様々なグループが影響力を行使していると結論付けました。
###
「パワー・エリート」論の影響
ミルズの「パワー・エリート」論は、学術界を超えて大きな影響を与えました。1960年代の学生運動や反戦運動において、この理論は、アメリカの政治体制に対する批判的な見方を提供する根拠として用いられました。
###
現代における再評価
近年、経済格差の拡大や政治の腐敗が深刻化する中で、ミルズの「パワー・エリート」論は再び注目を集めています。一部の学者は、現代社会におけるエリート層の台頭を指摘し、ミルズの分析の妥当性を再評価しています。